

将来保健師になりたいけど、看護師の経験はしたほうがいいの?
新卒で看護師になるメリット、デメリットが知りたい!
地域看護学の授業や保健師実習を通して、「保健師」として就職したい看護学生は多いのではないでしょうか。
ただ、1つの職場における保健師の数が少ないことから、保健師の求人数は看護師より少ないのが現状です。
こちらは筆者が住む自治体のハローワークでの数値(2021年12月時点)ですが、保健師は看護師の1/80ほどの求人数しかありませんでした。
このように保健師の求人数が少ないため、仕方なく看護師を目指す学生もいます。
この記事では、保健師希望者が新卒で看護師になる5つのメリットを紹介します。
最後までこの記事を見ることで、就職先の選択肢が増え、将来のキャリア形成にも役立ちます。
- 新卒で看護師になるメリット、デメリット
- 新卒で保健師に就職する方法
新卒で看護師になることは、保健師へ活かせる業務が経験でき、その経験が転職時に有利になるなどメリットは多くあります。
保健師希望者が新卒で看護師になる5つのメリット

保健師希望者が新卒で看護師になる5つのメリットはこちらです。
- 看護師の方が求人が多くすぐに働ける
- 退院支援業務が保健師へ活かせる
- 転職時に臨床経験が有利になる
- 会話が広がるきっかけになる
- 精神的に強くなる
看護師の方が求人が多くすぐに働ける
冒頭でも述べたように、看護師のほうが圧倒的に求人数が多いです。
新卒ですぐに働きたい方、就職活動にあまり時間をかけられない方は看護師になることをオススメします。

筆者も新卒ですぐに働きたかったので、求人数の多い急性期病院の面接を受けました。
退院支援業務が保健師へ活かせる
高齢化の影響で医療費が増加傾向にあり、医療費適正化のために「平均在院日数の短縮」が対策の1つとなっています。
医療機関その他の関係者と協力の下、住民が疾患の状態や時期に応じた適切な医療を受けることができるよう、医療機能の分化・連携、在宅療養の推進、療養病床の転換支援の取組を行う。
厚生労働省より引用
つまり、「入院期間が今後短くなるので、円滑に自宅退院・施設転院ができるような支援が必要」ということです。
そのため多くの病院には、在宅医や訪問看護などと連携する専門部署があり、病棟看護師も一緒に「退院支援業務」を行います。
- 患者さんやご家族の意思を確認
- 退院前カンファレンスに参加し情報共有
- 退院後に必要な医療処置の指導
退院後の生活を見据えて支援するため、「自宅で療養する患者さんのことを想像する」力が身につきます。
特に行政保健師や地域包括支援センターの保健師は、自宅で生活する方が対象者です。
退院支援業務を経験することで、入院から退院後の流れを把握でき、対象者に必要な支援を考えることができます。
患者さんが本来生活する場は「自宅」です。
看護師は、入院中から在宅生活を意識した看護ケアができるとよいでしょう。
転職時に臨床経験が有利になる
今後保健師になるための転職活動をしたときに、看護師の臨床経験があると有利になります。
- 臨床経験とは
- 医療現場で直接対象と関わる仕事の経験のこと(厳密な定義はない)
病棟勤務以外にクリニック、外来、訪問看護も該当する
求人先によって考え方が異なりますが、基本的には「看護師経験」と同義です。
例えば産業保健師のような倍率の高い職種の場合、「臨床経験3年以上」など応募条件が厳しいことがあります。
応募条件に当てはまる数が多いほど、転職活動は成功しやすいため、看護師の経験を積むメリットといえます。
〉産業保健師になるために臨床経験は必要?実際の業務に役立つ?
会話が広がるきっかけになる
保健師は一次予防に関わる仕事です。
一次予防とは病気、主に生活習慣病を未然に防ぎ、健康増進を目指すことを指します。
生活習慣病を防ぐ「一次予防」
生活習慣病(高血圧や糖尿病、脂質異常症)の予防
⇒脳卒中や心筋梗塞といった生死に関わる疾患の予防に繋がります
ただ、運動不足や栄養バランスの偏り、喫煙といった生活習慣を変えることは難しいです。
看護師の経験があることで、実際に脳卒中や心筋梗塞で入院していた患者さんの状況をリアルに伝えることができ、健康教育の際に活かせます。

対象者が「自分ごと」として危機意識が持てると、生活習慣が改善しやすいです。
また、現在はコロナ禍で入院中の患者さんと面会できず、「本人の様子がわからない」と不安なご家族が多い状況です。
同じ病気の方を看護した経験があれば、退院までの流れを具体的にご家族へ伝えることができ、不安の軽減に繋げられます。
精神的に強くなる
看護師は、患者さんの命に関わることが多い仕事です。
昨日まで元気だった方が急変するなど、予想できない事態が起こることもしばしばあります。
緊張感のある状況の中で仕事をしていると、徐々に精神的に強くなります。
長年看護師をしている師長さんや主任さんは、簡単に心が折れない精神的に強い方ばかりです。

精神的に強くなりたいからといって、心がボロボロになるまで働く必要はありません。
そんなときは、休職や退職の相談をしましょう。
保健師希望者が新卒で看護師になる3つのデメリット

保健師希望者が新卒で看護師になるデメリットはこちらの3つです。
- 保健師としての経験を積めない
- 夜勤業務をしなければならない
- 保健師免許がない場合、保健師の資格勉強が必要
保健師としての経験を積めない
当然ですが、新卒で看護師になれば保健師としての経験を積むことはできません。
保健師経験があれば、健康教育など一次予防に関わる保健師特有の業務を行うことができます。
しかし上記のメリットで述べたように、看護師業務が保健師に活かせる場面が多くあります。
夜勤業務をしなければならない
新卒で病棟勤務になった場合、夜勤業務が必須となります。
ただ、外来や訪問看護ステーションに勤務する場合は夜勤業務がないため、勤務場所によります。
保健師免許がない場合、保健師の資格勉強が必要
3年制の看護専門学校や保健師課程がない大学出身の場合は、卒業後に保健師学校に進学して1~2年勉強する必要があります。
〉文部科学大臣指定(認定)保健師学校一覧(令和2年5月1日現在)
学業との両立は大変なので、看護師の仕事を辞めなければならない場合があります。
そのため、保健師課程を設置している大学に進学することが一番効率的です。

デメリットを踏まえた上でも、新卒で看護師を経験する方がメリットは多いです。
新卒で保健師になるのは本当に難しいのか
保健師の求人数は看護師に比べ圧倒的に少ないですが、新卒で保健師になることは可能です。
特に行政保健師は保健師の中で6割を占めており、公務員試験を通過できれば新卒で入職できます。
看護師・保健師の国家試験と公務員試験を受けるのは大変ハードです。
また、行政保健師は多くの自治体が30歳未満と年齢制限を設けているので注意しましょう。
保健師希望者は看護師になった方がメリットあり!

新卒で看護師になると多くのメリットが得られます。
- 看護師の方が求人数が多くすぐに働ける
- 退院支援業務が保健師へ活かせる
- 転職時に臨床経験が有利になる
- 会話が広がるきっかけになる
- 精神的に強くなる
看護師の経験は決して無駄にはなりません。
将来のキャリア形成や選択肢を広げるきっかけになりますよ。
筆者が実際に病棟看護師から保健師に転職した理由・メリットもまとめているので、参考にしてみてください。
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